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[コラム]「実学」から学ぶ会計のキホン

ビジネス書はトレンドを追うよりも、読み返すとそのたびに身が清められるような名著を手元に置いておきたいタチです。

今回はそんな中の一冊から、スモールビジネスの経営者様にもご参考頂けるものをご紹介してみようと思います。

稲森和夫の実学

著者は言わずと知れたかつての大物経営者ですが、著作に関して言えば晩年に書かれた「生き方」や「心。」の方が売れ筋であり、稲森ファンでも意外と本書をご存じない方もいらっしゃるようです。

 

私はここでも持ち前の拗ね者ぶりを発揮し、むしろ「実学」こそが稲森さんの最高傑作であると思っております。

 

と申しますのも、「実学」には経営者が心得ておくべき会計の鉄則を守ることが畢竟、経営を強くする道標となることを強く説得してくれる一冊であるからです。

 

「原理原則を大事にしましょう」系の本は、そこに泥臭い具体例が伴わない限り「何を当たり前のことを、、」と興味をそそられることがないのですが、本書はその点で見事な仕上がりになっています。

 

ウィットに富んだ喩えと例えが、原理原則をきらびやかに見せてくれる、そんな一冊です。まだまだ創業間もないながらも、私自身が本書から取り入れているセオリーを2つほど紹介させていただきます。

 

①「一対一の対応」

②「キャッシュベースの経営」

 

①「一対一の対応」

 

これは、取引が発生したら後回しにせず、その場で必ず伝票を起こすことを指しています。一見すれば当たり前に思えるのですが、支払いが発生した際、売り上げが上がった際に忙しいからと理由をつけて、つい記帳を後回しにしがちです。

 

それが積み重なるとのちに地獄の確定申告、なんてことにつながるわけです。自分はそれほど取引頻度の多い職業ではないため、常に売り買いが絶え間なく行われる業種の方からすれば「簡単に言ってくれるな」、と仰りたくもなりますが、即スマホの会計ソフトに入力することを徹しており、即座に暫定的な業績がわかるようにしております。

 

ちなみに、ややこしくならないよう、個人事業は弥生会計、法人事業はマネーフォーワードと使い分けています。

 

②「キャッシュベースの経営」

 

これは、概念上の指標にすぎない損益計算書よりもむしろ、現金の動きに重きを置く経営、という意味合いがあります。業績から想起されるほどには現金が通帳に残っていない状況を見て、「儲けたお金はどこにあるのか」を経理部長に問いながら話が展開していきます。

 

つまり、いわゆる「会計学」からのアプローチとは異なり、いずれも稲森さんが黎明期の京セラを経営していた際に感じた素朴な疑問から述べられているわけです。

 

まさしく「実学」その名にふさわしい、現場実務からのリアリティがひしひしと伝わってきます。そしてここから、対外的な財務会計とは別に、社内で扱いやすいように置き換えた管理会計を取り入れたそうです。

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